近年、大学職員の公開求人には100倍を超える応募も珍しくありません。
わたしは基本的に「高倍率など無意味」だという考え方を持っており、内定を獲得するに足る実力があれば、正味の倍率はせいぜい10倍程度ではないかと思っています。
志望動機を磨き上げ、万全のエントリーシートを仕上げれば、書類選考はもちろん、意地の悪い面接官すら恐れるに足りません。自身に満ちた言葉が溢れ出せば、最終選考までの視界は良好です。あとは実力者との一騎打ちを制し、晴れて内定の栄に浴してください。
しかしながら。
100倍とも言われる大学職員の選考試験では、「実力者のまぐれ落ち」も多々あります。面接担当者も「数をさばく」ことに手一杯となり、内定力を備えた実力者が見落とされる可能性は否定できません。
書類選考を含めた採用段階で一度でも見落とされてしまえば、その時点でジ・エンドです。大学職員の選考試験に「敗者復活戦」はありません。アンラッキーで人生をフイにしないためにも、高倍率は避けたいところです。
敗戦続きで転職エージェントの門をたたく
さて、わたしが転職エージェントに申し込んだのは、最終面接落ちを含めて「負け」が続いた時期でした。「持ち駒を補充しなければ!」という焦りもありましたし、不採用となるたびに振り出しに戻ることへの徒労感が限界に達しつつありました。「敗者の無限ループ」とも言うべき終わりなき転職活動に、わたしの精神は崖っぷちだったのです。
もちろん、転職エージェントに対して「敷居の高さ」はありましたが、虎穴に入らずんば虎子を得ずと言われるように、受身の姿勢は転職活動の大敵だと決意を固めました。
選ぶなら業界ナンバー1
わたしが利用した転職エージェントは、リクルートエージェントでした。決め手はやはり圧倒的な求人数ですね。本稿執筆時点で、公開・非公開あわせて27万件超の求人数を誇ります。
なお、転職エージェントの選択肢として、マイナビエージェント、type、DODAなども候補となります。それぞれに特色があり、採用案件は基本的に一社独占なので、比較検討してください。
また、転職エージェントの利用にあたっては、キャリアアドバイザーとの登録面談が必須のため、営業拠点へのアクセスも重要です。
リクルートエージェントの営業拠点は、北は北海道、南は福岡まで、業界最多の16拠点があります(具体的には、札幌、仙台、宇都宮、大宮、千葉、東京(丸の内・立川)、横浜、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡)。
サービス利用の申込みを済ませると、「Personal Desktop」という個人専用ページが利用可能となります。(「Personal Desktop」の名称及び機能は当時のもの。現在は仕様変更の可能性もあります。)
Personal Desktopの機能は以下のとおりです。
1)おすすめ求人POST画面:
・紹介された求人案件の詳細(求人票)の確認
※求人検索機能はありません。
・紹介された求人案件に関する応募or見送りの連絡2)レジュメ作成画面:
・キャリアシートの作成・保管
・職務経歴書の書き方見本の確認3)転職力向上セミナーへの申し込み:
・面接力向上セミナーをはじめ、実践的な各種セミナーの案内と、参加の予約
ちょっと待って、その前に
ちなみに、「無い内定」の原因が志望大学に関するリサーチ不足である場合、「キャリコネ」で志望大学の採用プロセスや選考方法を確認しておくべきです。私立大学の選考方法は多種多様なので、事前リサーチは情報戦の基本です。
キャリコネでの大学リサーチは「労力対効果」の高い対策なので、大学職員志望者としては必須の情報源でしょう。
エージェント利用の申込後は、面談実施にむけて急展開!
リクルートエージェントの利用申込を終えると、受付担当者(キャリアアドバイザーとは別の人)からメールが届き、キャリアアドバイザーとの面談日を調整します。
キャリアアドバイザーとの面談は土日祝にも対応可能となっており、在職中の転職活動者にとっては嬉しいところです。ただし、土日祝は面談予約が混み合うため、わたしの場合は第2希望の日時で面談をすることになりました。
登録面談の日程が決まると、担当のキャリアアドバイザーから挨拶を兼ねて面談に際しての事前案内がメールで届きます。実際に届いたメールは以下のとおりです(一部加工しています)。
はじめまして。リクルートエージェント◯◯◯と申します。
この度は、弊社「転職支援サービス」へお申し込みいただき、ありがとうございました。
今後、◯◯◯様の転職のお手伝いをさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。今回のご面談では、基本的に◯◯◯様のご希望等に沿って進めさせていただきますが、加えて、これまでのご経歴の整理やご自身の強み、さらに、転職先に求める希望条件などの確認と、現在の転職市場動向などをご説明させていただき、ご意向を踏まえた求人情報をご提供させていただきます。
また、今後のスケジュール、応募書類の書き方に関するアドバイス等も、あわせてご相談させていただければと存じます。ご面談をより効果的なものとするために、以下の質問にご回答の上、ご返信くださいますようお願いします。
では、お待ちしております。
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インタビューシート
===============================【留意点】
現在のお気持ちを面談の参考としてお聞きしますので、お気軽にお書きください。
出来るだけ記入していただいた方が、より効果的なサポートが可能ですが、書きづらい点、気持ちがまとまっていない点は、未入力のままでも結構です。
ご自身のお気持ちを整理いただくのにも有用と思われますので、どうぞご協力をお願いします。<ご希望について>
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●転職後の仕事のイメージはいかがですか?
例)業界や職種、通勤環境など●転居は可能ですか?
●最低希望給与(税込み年収ベースで)
●具体的に検討している会社はありますか?
●ご希望の条件のなかでの優先順位がありましたら、お聞かせください
例)業界、職種、給与、勤務地など<転職理由>(転職のご事情やその必然性をうかがうための質問です)
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●会社を辞めようと思った理由●転職を機会に実現させたいこと
<転職環境について>(転職スケジュール作りのための質問です)
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●転職時期
例)いいところが見つかり次第、◯年◯月ごろ●現在応募中の会社はありますか?
(ある方は選考状況はいかがですか?)●ご家族には相談されていますか?
ここが重要!
●ご家族、ご親戚からの反対等はありそうですか?
<その他>(面接でも必要となる自己PRを自由にご記入下さい。)
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例)スキルやマネジメント経験、性格面での強み・弱みなど●当社以外の人材紹介会社はご利用されてますか?
●その他ご質問やご要望
質問は以上となります。ご協力ありがとうございました。
上記の質問事項の中で、「家族の同意」は非常に重視されます。転職に対して家族の賛意を得ているかは、キャリアアドバイザーとの面談でも必ず聞かれると思います。
実際のところ、家族にナイショで転職活動をしていると、内定後のドタキャンなどもあるとのこと。転職エージェントとしては、クライアント企業との関係上、それだけは防ぎたいということでしょう。
いよいよキャリアアドバイザーとの面談に臨む
さて、いよいよキャリアアドバイザーとの面談です。とある高層ビルの指定されたフロアに到着すると、無人の受付に電話が一台置いてありました。受話器を上げて担当者の名前を告げると、案内係の女性が奥から現れ、面談ブースへと誘導してくれました。
この時点でかなり緊張MAXです。
内定すら出ていないのに、いよいよ会社辞めちゃうんだな・・・という不安に襲われます。
気が早すぎると笑われそうですが、大学で採用面接を受けるのとは別の種類の緊張感があります。
面談ブースにはデスクと椅子のほかに、パソコンとプリンタが置いてありました。椅子に腰を下ろして待つこと数分、キャリアアドバイザーは20代と思われる女性でした。そのことに少し面食らいつつも、まずはお互いの名刺を交換します。
なお、面談はカジュアルOK(スーツ不要)ですが、キャリアアドバイザーはこちらの「人となり」を見ているハズなので、服装センスに自信が無いならばスーツ着用が無難です。もちろん名刺は忘れないように。
軽く世間話をしたあと、本題がスタートします。まずは転職理由について質問を受け、転職先企業のイメージや希望などを聞かれます。わたしの場合は大学業界に狙いを定めていたので、このあたりの質問にはかなり明確に答えることができたと思います。
なお、面談時間を節約するために、ウェブの個人専用ページ(前述のPersonal Desktop)に転職動機や希望条件などをできるだけ詳しく入力しておくことをお勧めします。
こちらの話をひととおり聞き終えると、キャリアアドバイザーは手元のクリアフォルダから数件の求人票を取り出しました。個人専用ページに入力しておいた内容を踏まえて、事前に求人案件を検索してくれていたようです。
おおおっ!
これです、まさにこれです。わたしにとってはノドから手が出るほど欲しい「非公開求人」の求人票です。大学職員志望者にとって、これほど貴重な情報は他に無いでしょう。手間を惜しまず、勇気を出して、ようやく手にすることができる、まさにプレミアムな情報です。これを見せてもらうためにココまで足を運んだのです。
デスクの上に並べられた求人票を舐めるように見回すと、たしかに見たことのない求人案件でしたが、残念ながら通勤に2時間ほどかかりそうな大学ばかりでした。通勤環境はわたしにとって優先度が高かったため、お断りすることにしました。
その後は備え付けのパソコンで別の求人案件を紹介してもらい、興味をひかれる団体職員の募集などもありましたが、とりあえずは即答を避け、いったん引き上げることにしました。
なお、言うまでもありませんが、キャリアアドバイザーは「ビジネス」として転職を仲介しています。転職すること「ありき」でプッシュしてきますので、大学職員という希望条件がブレないように注意が必要です。
キャリアアドバイザーとの面談は以上で終了です。わざわざリクルートエージェントの社屋に出向くのは、最初の一度きりということになります。その後はキャリアアドバイザーから週に1度くらいのペースで非公開案件の連絡があり、前述した個人専用ページ(前述のPersonal Desktop)に求人案件が追加されます。
わたしの場合、キャリアアドバイザーとの面談からそれほど日を置かずに、現在の勤務校から内定を獲得することができました。このため、リクルートエージェントから直接的な恩恵を得ることはありませんでしたが、転職エージェントを使おうか迷っている方のために体験記を残しました。
言うまでもなく、大学職員の公募は非常に数が限られています。わたしは転職先に求める条件が明確であったため、キャリアアドバイザーからの紹介を「これはダメ、それもダメ」とお断りしましたが、まずはどんな情報でも欲しい、という方も多いのではないでしょうか。
キャリアアドバイザーとの面談は率直なところ面倒ですし、一歩踏み出す勇気も必要ですが、「非公開求人」の中身が気になって仕方がないのならば、もはや躊躇する必要はないと思います。どのみち失うものなどありません。
最後に、わたしが検討した転職エージェントと、それぞれの特徴を紹介します。上からお勧めの順ですが、基本的に求人案件は各社独占なので、2つ3つを掛け持ちするのも十分にアリかと思います。
どれか1社選ぶならココ
リクルートエージェント
転職エージェント業界の最大手であり、非公開求人の案件数は27万件以上と群を抜く存在。北は北海道から南は福岡まで、面談会場は全国に16拠点とアクセスも便利。どれか1社選ぶならココ。
電話面談可能で利便性大
マイナビエージェント
人材紹介業界においてリクナビと双璧をなすのがマイナビ。来社面談が困難な場合には電話での面談が可能。郊外や地方在住の方でも転職エージェントの利用を諦めることはありません。
首都圏在住なら候補に
type転職エージェント
社名検索で「大学」を調べてみると、常時10件以上の非公開求人案件がヒットする。意外に穴場か?
公開求人は定期的にチェック
DODA(デューダ)
80年代に「デューダする」のCMで一世を風靡したDODA。私立大学の公開求人もあるので、定期的にチェックは必要。日本最大級の転職イベント「DODA転職フェア」には、早稲田・慶應など大学業界も参加実績あり。