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私立大学事務職員の給与に関する近年の事情

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今回は私立大学職員の給与に関する比較的新しい情報をご提供していきます。既出の賃金情報のソースとしては京滋私大教連機関紙(No144)が知られていますが、こちら発行が2009年度と少し古めです。(ご存知でない方はネット検索すれば簡単にヒットします。)

以下にて2012年度の首都圏私立大学の月額ベースの賃金表をご紹介しますので、例によってご関心があれば続きをご覧ください。


まずは出典のご紹介から。

大東文化学園教職員組合連合機関紙第 1067 号
http://www.boreas.dti.ne.jp/daito-un/kiri-1067_20130805.pdf

やはり賃金関係のニュースソースは労組関係となります。学内組合員向けの情報誌かと思われますが、インターネットで広く公開されており、組織としての透明性の高さがうかがえます。

こちらの資料は2013年春闘の結果について報告されたものですが、注目スべきは15~16ページ目となります。

ちなみに、1~2ページ目に掲載されているUSBフラッシュメモリの紛失不祥事に関する顛末(自宅残業のために持ち出したUSBメモリを紛失したらしい)もなかなか興味深い内容です。学園側は「持ち帰り残業について、上位職者が残業を指示したと考えられるが、家でとは指示していない。」と回答、あくまで組織の責任ではないと主張する姿勢のようです。詳しい事情は存じませんが、身を守るためにも持ち帰り残業はすべきではありません、いまのご時世。

すこし脱線しましたが賃金の話に戻ります。上記資料は労働組合が春闘のために作成した資料。当然のこと、他大学の賃金は高く、自大学の賃金は低く表示します。
そのことは15ページ冒頭の注意書きからも明らかです。

大東文化大学の賃金は基本給です。加算される手当等は含まれておりません。各私大の昇給昇格規定に基づき最短で昇格した場合のモデル賃金です。実態とかけ離れている大学も少なくありません。

ここで言う「手当」とは、通勤手当、住居手当、家族手当のようなものでしょう。各私大のモデル賃金にはこれらの「手当」が含まれるものと考えられます。それにしても「実態とかけ離れている大学も少なくありません」は噴飯ものです。この資料の信憑性すら揺らぐ一言。

気になる大学の賃金については各自ご確認いただくとして、年代ごとのの平均賃金を以下に抜粋してみました。

22歳大卒 203,850
25歳大卒 231,100
30歳大卒 301,250
35歳大卒 357,097
40歳大卒 405,755
45歳大卒 442,000
50歳大卒 468,550
55歳大卒 490,000
60歳大卒 504,200

賃金カーブとしては、だいたい45歳くらいまで年1万円ペースでの昇給かと思われます。
30歳大卒で額面301,250円であれば、手取りで25万程度。学齢期の子供をかかえるであろう45歳でも、手取りにすると36万円。

年収換算だとボーナスが5ヶ月分出ると仮定して、単純計算で月給の17倍。30歳大卒なら512万円、45歳大卒なら751万円、60歳大卒では857万円となります。
この金額が多いと感じるか普通と感じるかは人それぞれですが、数年前に出回った京滋私大教連機関紙(No144)よりもかなり少ない金額であることは明らかです。すでにリンクが外されているようなので、詳しくはこちらから。

daigaku-syokuin.hatenablog.com

大東文化大学教職連資料では早稲田大学の35歳月給は402570円となっており、ボーナスが6ヶ月出たとしても、年収は724万円。

一方で、京滋私大教連機関紙では早稲田大学35歳の年収は887万円となっており、大東文化大学教職連資料よりも160万円も高い額が掲載されています。
京滋私大教連機関紙のデータは、関西大学の45歳事務職員の年収(12,507,160円)が同じ年齢の教授の年収(12,352,330円)を上回っており、さすがにそれは普通ではないと思われる点もあります。年間1000時間近く残業手当を申請している特殊な職員をサンプル抽出しているのでしょうか。

ちなみに、こちらのサイトにて京大の先生が給与明細を公開されています。「広く社会のご理解とご批判をいただくため、国立大学の現状に関する情報の1つとして、京大における私の2013年分の給与明細を公開することにしました」とのことです。

大東文化大学教職連資料の冒頭にて「昇給昇格規定に基づき最短で昇格した場合のモデル賃金」だと書かれているとおり、年齢が進むほど実態とは乖離していきますが、概ね40歳までの金額についてはある程度アテになるかと思われます。それにしても大学間でかなり差があります。

このような貴重な資料を提供してくれていることに感謝しつつ、次回もまたよろしくお願いします。

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