大学職員の採用公募情報

国公立・学校法人の事務職員求人情報

日本一難しい就活試験

先日、朝日新聞の就活ニュースペーパーに「日本一難しい就活試験」という見出しの記事が掲載されておりましたのでご紹介します。実際に日本一難しいかは別として、これからの大学職員に求められる「考える力」を問う上で、このような就活試験を採用してみるのも面白いと思った次第です。

就活ニュースペーパー
http://asahi.gakujo.ne.jp/teach/training/detail/id=1443

「日本一難しい就活試験」を行っているのは、生命保険のネット販売を行うライフネット生命社。ライフネット生命は会社そのものよりも、会長の出口治明氏とCEOの岩瀬大輔氏による著作業の方が有名なのではないかという、ちょっと毛色の変わった会社だと私は見ています(もちろん、会社の知名度を高めるためにそうしているはずですが)。岩瀬大輔氏は「入社1年目の教科書」という本の著者で、かなり売れた本なのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。

さて、さっそく記事を抜粋しつつ、就活試験の内容を検証していきます。

ライフネット生命は新卒既卒を問わず30歳未満であれば「定期育成採用」にエントリーすることが可能です。その時に求められるのはエントリーシートでも履歴書でもなく、「重い課題」に答えること。これは事前に提出する課題で、たとえば2015年卒採用時の試験(2問あり、うち1問を選んで解答すればOK)はこんな感じです。

なるほど、エントリー時には履歴書など不要ということですか。つまり、「重い課題」に答えられない人の履歴書など読む必要も無い、そういうことでしょうね。応募者としては、提出書類の数が減るわけですから、どちらにとってもウインウインの関係が成り立ちます。そして、「重い課題」の中身が以下のとおり。

<現在の小学校1年生が大学を卒業して就職する頃には、65%の人が今は存在していない仕事に就くという調査があります。現在から20年後の社会と仕事の変化について、予想してください。
(1)20年前から現在にかけてもっとも成長した産業ともっとも衰退した産業について、データを用いてその背景とともに説明してください。
(2)20年後の未来に、現在と比較して大きく変化している社会・産業の状況を予想し、理由とともに説明してください。
(3)(2)で予想した変化に伴い、20年後には、現在存在しないどんな仕事が新たに生まれているでしょうか。新たな仕事を一つ挙げ、その仕事が生まれる背景と、その仕事に就くにはどのような能力が必要か予想して説明してください。
※20年前は1990年とし、20年後は2030年とします>(文字数制限なし)

上記の出題は、デューク大学のキャシー・デビッドソンによる「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」という調査結果がネタ元かと思われます。日本でもかなり話題になったので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

大学とは業界が違いますが、生命保険も大学も事業内容が長期スパンである点は変わりません。生命保険は加入してから何十年後に病気になるか分かりませんし、大学生が社会で成功をおさめるのは卒業後、何十年も先のことでしょう。
そういう意味で、単に「いま何ができるか、どのような貢献ができるか」という質問に答えさせるのではなく、来るべき未来を予測させたうえで、「その未来を迎えるまでに何ができるか」を考えさせる方が、長期的に事業を営むうえで必要な視点を持った人材を採用できると思います。

今現在の大学職員の採用試験では、あまり将来どのような社会が到来し、その時代における教育へのニーズを考えさせるような出題は見たことがありませんが、ぜひ自分自身の視点の中にも、このような将来目線を欠かさないようにしていきたいと考えています。

ちなみに、上記の出題における20年後に生まれる仕事ですが、「代理母」という職業が日本でもビジネス化されるような将来予測もありえるのではないかと思います。マタハラが改善されなければ、そのようなニーズも当然あるでしょう。
参考まで、東洋経済オンラインの記事によれば、この15年でもっとも増えた職業は介護職、もっとも減った職業は農業従事者だそうです。

copyrights@大学職員公募情報・プライバシーポリシー

おすすめします

「大学とは何か」という書名のとおり、歴史的・法律的・文化的なアプローチから、「大学」のアウトラインを描き出した名著。前提知識無しに読める敷居の低さも推奨の理由です。