専任職員は229倍の狭き門となることも・・・
近年、大学職員が職業として人気化しており、雑誌などで度々取り上げられる機会も増えてきました。職業としての認知度が高まることは、より良い人材が集まることにもつながりますが、その一方で、応募倍率の極端な上昇を招くことにもなりました。
一例として、関西大学では例年30倍程度であった既卒者採用の応募倍率が、平成23年度には採用者3名に対して568名の応募者が殺到し、応募倍率は189倍となりました。国公立大学においても、神戸市外国語大学では平成27年度実施の採用試験において、採用者1名に対して応募者数は229名(すなわち229倍)となっています。
関西大学採用実績
http://www.kansai-u.ac.jp/saiyo/chuto_jisseki.html
神戸市外国語大学(平成27年実施)
このように、倍率だけを見ると超一流企業も青ざめるような高倍率となっており、少子化による経営危機などどこ吹く風で、人気の過熱ぶりは誰の目にも明らかな状況です。
書類審査・面接試験における「絞り込み」の事例
実際に大学職員の公募に申込むことになると、まず気になるのは各選考段階での「絞り込み」ではないでしょうか。すなわち、書類審査や面接試験でどの程度の人数が通過するのかということであり、ネットの掲示板でもこの手の話題でもちきりになります。
選考段階での「絞り込み」の方法については極めて情報が少ないのですが、特定非営利活動法人大学職員サポートセンターという団体のセミナー資料に法政大学と芝浦工業大学の事例が掲載されておりました。
法政大学
書類選考(464名通過)→筆記試験(142名通過)→一次面接(30名通過)→二次面接(19名通過)→最終面接(7名通過)→内定
芝浦工業大学
ウェブ選考(167名)→筆記試験(55名)→一次面接(26名)→二次面接(8名)→最終面接(4名)→内定(1名)
法政大学では書類選考で464名通過となっていますので、実際の応募者はその2倍以上かと思われます。両大学とも応募倍率は軽く100倍を超えています。これだけの応募者が殺到していることもあり、多少のバラつきはありますが、どの選考段階でも人数を1/3程度に絞っているなという印象を持ちました。また、当事者目線でヒヤリとするのが芝浦工業大学の最終面接で、4名が面接に臨んで通過者(内定者)はたったの1名です。最終面接でもしっかり絞られる、これが大学職員採用選考の現実と言えるでしょう。
「高倍率=高難度」というわけではない
100倍を超えるような高倍率を目の当たりにし、その数字にたじろがない人はいないでしょう。何かの雑誌に「大学職員の採用試験はオーディション並の高倍率」ということが書かれていた記憶がありますが、数字だけを見ればその通りかもしれません。
しかしながら、どれだけ高倍率であったとしても、それが必ずしも高難度とイコールではありません。もちろん応募倍率100倍の採用試験が簡単であるとは言いませんが、実際のところ100倍でも200倍でも大した違いは無いのです。 大学側の採用事情としては、いくら応募者が多いからといって、面接回数を増やすわけにはいきません。応募者が多ければ書類選考で多めに絞るだけのことであり、2次面接や最終面接に残るような実力者には大した影響とはならないでしょう。
言わずもがなですが、採用試験は「総当り戦」をやるわけではありません。応募倍率が100倍だからといって、100人抜きをしなくては内定を取れないというものではありません。100倍であろうと200倍であろうと、せいぜい3回から4回の面接をパスすれば内定に手が届くわけです。 最終面接に残れるような実力があれば、100名のうち90名は相手にならないでしょう。残りの10名の中に「特Aランク」が何名いるのか、それが本当の意味での難易度です。