今年の就活解禁日となる3月1日、各地区の国公立大学等試験実施委員会が一斉に、平成29年度の職員採用試験に関する要項を発表しました。試験の実施概要についてはこちらのページにまとめましたので、関心のある方はご覧いただければと思います。 さて、それに関連して本稿では、国公立大学職員の採用「倍率」についてデータを考察して参りたいと思います。
各地区の1次試験倍率(事務職員)について
全国7地区の1次試験(事務職員)の合格倍率は以下のとおりです。 データは各地区試験実施委員会が公開している平成27年度の試験実施状況に基づき作成しました。
地区 | 受験者 | 合格者 | 倍率 |
北海道 | 1,565 | 384 | 4.1 |
東北 | 2,686 | 534 | 5.0 |
関東甲信越 | 12,139 | 1,550 | 7.8 |
東海北陸 | 3,978 | 1,176 | 3.4 |
近畿 | 4,796 | 907 | 5.3 |
中国四国 | 3,521 | 589 | 6.0 |
九州 | 6,282 | 685 | 9.2 |
上表からひと目で分かるとおり、1次試験の合格倍率は地区ごとにかなりの開きがあります。 もっとも倍率の低い東海北陸地区では3.4倍(平成26年度は3.7倍)、反対に最も倍率の高い九州地区では9.2倍(平成26年度は11.0倍)となっており、合格倍率において3倍に近い開きがあるのです。なお、北海道地区も東海北陸地区と同様、1次試験の合格倍率は例年3倍台から4倍前後で推移しています。
それでは、国公立大学の事務職員を目指すなら東海北陸や北海道が狙い目かと言われると、必ずしもそうとは言い切れません。 九州地区試験実施委員会のウェブサイトでは、1次試験実施後の流れについて、以下の説明がなされています。
第一次試験に合格されますと、第一次試験合格者名簿を作成し、各国立大学法人等に配布します。採用予定機関ではこの名簿から候補者を選び、面接考査等を実施し採用者を決定します。
上記の文言だけでは具体的な事情は分かりませんが、2次試験の選考において1次試験の点数が考慮される可能性、また、2次試験前に実施される「業務説明会」という名のセレクションで何らかの配慮がなされる可能性などを考えますと、後述する2次試験の倍率なども念頭に、やはり1次試験の点数は高いにこしたことはありません。 国家公務員試験のように1次試験のウェイトが明示されているわけではないので何とも言えませんが、最終合格の可能性を高めていくうえでは上位合格を目指していくべきでしょう。
2次試験と最終倍率について
各試験実施委員会による1次試験の合格者は、各国公立大学が実施する2次試験を受験します。 採用予定者数は大学ごとに異なり、また、小規模の大学においては採用ゼロという年度もあります。 なお、2次試験は試験日程が重ならない限り併願が可能なので、複数の国公立大学の2次試験を受験することができます。
残念ながら、2次試験の受験者数を公表している国公立大学が見当たりませんでした。このため、2次試験の合格倍率(すなわち最終倍率)について、具体的な数字は分かりません。 ただし、上記のとおり2次試験は併願が可能なため、1次試験合格者の大半が主要国立大学を受験するものと考えられます。具体的には、北海道地区の1次試験合格者の多くが、北海道大学の2次試験の受験を希望するであろう、ということです。 この理屈で言えば、平成27年度の北海道地区の1次試験合格者384名が北海道大学の2次試験(採用予定数25名)を受験したとして、2次試験の合格倍率は15.4倍となります。あまり意味の無い数字かもしれませんが、1次試験の倍率(4.1倍)と掛け算すると、北海道大学の事務職員採用試験の合格倍率は約63倍となります。
しかしながら、国公立大学職員採用試験は公務員試験との併願者が相当数いるため、実際の倍率は上記の数字から、それなりにズレる(下がる)と思われます。
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