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大学職員の仕事は楽勝だというイメージへの私なりの解釈(前編)

大学職員関連の掲示板などを見ていますと、大学職員の仕事は楽なうえに給料が良いという趣旨の書き込みをよく目にします。 大学職員という職業について、「目標もノルマも無く、苦労やストレスとは全く無縁で、要するに民間企業に比べれば圧倒的に楽勝」というイメージがすっかり定着していますし、近頃ではメディアで取り上げられる機会が増えましたから、やや片面的というか局所的な大学職員像が形成されているように思います。 現職の大学職員としては、こうした点ばかりに注目が集まることを残念に思いつつも、その全てが誤解や偏見というわけではありませんし、さもありなんと感じるところもあります。 一方で、これから大学職員を目指す方が、この職業を少しでもポジティブにとらえてもらえればと思い、私なりの解釈を述べる場とさせていただければと思います。

さて、大学職員の仕事が簡単か大変かを考える際、仕事の大変さを形成する2つの要素、すなわち客観的要素(仕事そのものの難易度)と主観的要素(仕事を通じてもたらされる精神的負担)とに分解しておきたいと思います。これら2つの要素を混ぜこぜのまま考えてしまうと、「なんとなく大学職員は楽勝っぽい」という世間話のレベルから抜け出すことができませんし、大学職員という職業に可能性や展望を見出すことができなくなります。

仕事の大変さを構成する2つの要素 客観的要素:仕事そのものの難易度 主観的要素:仕事を通じてもたらされる精神的負担(ストレス)

まず1つ目の要素として着目しておきたいのは、大学職員が関わる仕事そのものの難易度です。 大学業界は民間企業(特に大手)と異なり、アウトソーシングが進んでいません。アウトソーシング先として事業子会社を設置している大学もありますが、各部署が担当する事務作業それぞれのロットは大きくないため、大手企業に比べるとアウトソーシングの活用範囲やメリットは限定的です。 したがって、民間企業であれば外注してしまうような軽作業を専任職員が担当しているというケースも少なくありません。定期試験や入学試験の時期になると、おそらくどこの大学でも専任職員が朝から晩まで書類整理にあたっているのではないでしょうか。もちろん、これらの業務にも長年の経験やセンスというものがあるのですが、頭脳労働のイメージからは程遠いというのが実感です。 「大学職員は楽勝」と言われる背景には、こうした大学業界ならではの事情があるのだと思います。せめて金融機関のように専任職員を総合職・一般職に分ければいいのではとお感じになる方もおられるでしょうが、もしも職員の半分を一般職にしてしまうと、おそらくルーチンワーク以外の業務が回りません。私立大学では中規模の大学でも専任職員は200名程度しかいないため、あまり職制を細分化できないのです。このあたりも大手企業との違いでしょう。

その一方で、上記のような事情があるにせよ、大学職員の仕事の難易度は、民間企業と何も変わらないと私は考えています。こんなことを言うと、同僚たちからも驚かれそうですが、仕事の難易度は民間企業と全く変わりません。 というのも、仕事の難易度というものは少なくとも組織全体で一括りにできるようなものではなく、構成員各自がどのような目標を立てるかにより差が生じるものだからです。高い目標を立てれば難易度は上がりますし、低い目標を立てれば難易度は下がります。目標を設定するのは自分自身ですから、自分の考え方次第で仕事の難易度は変わります。このことは大学であろうと民間企業であろうと変わりません。

とは言いつつも、民間企業の雰囲気とはちょっと違うのも事実です。民間企業では上司から営業ノルマを割り当てられ、高すぎる目標を強要されることもあるでしょう。言い換えれば、仕事の目標を自分ではコントロールできないということです。大学はその逆で、もちろん担当業務の割り当てはありますが、目標設定の裁量がかなり大きいという特徴があります。 ゲームについて興味の無い方にはピンとこないかもしれませんが、民間企業がスーパーマリオなら、大学職員はマインクラフトのようなものかもしれません。スーパーマリオでは先のステージに進むほどプレーヤーが優秀なのと同様、民間企業では多く売り上げるほど、より高いポジションに出世するほど、優秀なサラリーマンだと言えます。マインクラフトは「箱庭作り」的なゲームの一種で、どのように楽しむかはプレーヤーに任されています。大学という箱庭を育てるという意味では、大学職員の仕事はマイクラ的ではないかと思います。 ちなみに、インターネットで「minecraft」を検索すると1億件以上のサイトがヒットします。これは「tokyo university」(857万件)の軽く10倍以上です。我が国の大学をマインクラフト並に世界へ発信することは難しいと思いますが、大学職員の仕事は画面の中のマインクラフトより確実に面白いです。

(後編に続く)

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