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大学入試改革に関してわかっていること《まとめ①》

大学入試改革については当ブログでも度々取り上げてきているが、あまりに検討中の事項が多すぎ、大学関係者や受験業界は対応に手をこまねいているのが現状といったところ。新聞報道等を通じて小出しに情報が伝えられているが、全体像はいまだ靄(もや)の中だ。そこで、自身の頭の中の整理も兼ねて、大学入試改革について現時点でわかっていることをまとめてみたい。例によってご関心があれば続きをご覧あれ。

- 新入試方式の実施時期 2021年度大学入試から新入試方式に移行する。現中1生(2002年4月2日~2003年4月1日生まれ)から、新入試方式で大学受験をすることとなる。

2021年度入学者対象の大学入試から新入試方式へと移行するため、実際に試験が実施されるのは2020年度ということになる。いまのところ新旧制度の移行措置についての情報は無く、現中2生が一浪した場合にどうなるかは不明。

- 大学入試改革で何が変わる 1990年から実施されているセンター試験(大学入学者選抜大学入試センター試験)が廃止となり、「大学入学希望者学力評価テスト」が導入される。また、英語に関しては4つの能力(読む・聞く・書く話す)を評価するためTOEICなどの民間試験の活用が検討されているほか、各大学の個別入試では多面的評価による入学者選抜が求められている。

大学入試改革の最大の目玉はセンター試験改革である。現行センター試験の実施開始から30年ぶりの大改革となる予定。センター試験はそれ以前に実施されていた大学共通第1次学力試験(1979年~1989年)に比べ、かなり寿命の長い入試制度だったと言える。 英語においては4つの能力を評価するため、民間試験団体の活用も検討されている。すでに一部の大学ではTOEICのスコア等を出願条件とする入試方式を設けているが、これが広範に行われるようになる。 また、各大学の個別入試においては、従来の知識のみを問うような入試方式から、学力の三要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・. 多様性・協働性」)を多面的に評価する入学者選抜へと移行するよう求められる。現在、多くの大学で行われている個別入試では、筆記試験(マークシート+一部記述式)のみで入学者選抜が行われているが、これに加えて小論文や面接・グループディスカッションなどにより、受験生を多面的に評価することが求められる。すでに私立大学の主な収入源の一つである私立大学等経常費補助金では、このような多面的評価による入学者選抜を実施する大学に対して加算措置がなされている。

- 「大学入学希望者学力評価テスト」はセンター試験から何が変わる 大学入学希望者学力評価テストでは、①年に複数回実施する、②試験結果を1点刻みとしない、③CBTの導入、④教科型に加え「合教科・科目型」「総合型」の出題、⑤記述式問題の導入が検討されているものの、何一つとして具体的な決定事項は無い。

大学入学希望者学力評価テストにおける変更点(上記の5点)は昨年末の中央教育審議会で議論された内容だが、実現の有無を含めて不透明な状況となっている。その後の中間報告において、⑤記述式問題の導入に関しては、2020年度実施試験では短文記述式を、2024年度以降に実施される試験から長文記述式を導入するとしたものの、その他の項目についは「目指す」「検討する」という表現にとどまった。 高校現場からは年複数回の実施について、受験準備が早期化する、学校行事に影響するなどの声があがっている。 CBT(Computer Based Testing)は、画面に問題が表示され、マウスとキーボードで回答する試験方法である。文字だけでなく音声や動画による出題も可能である点がメリットと言える。すでに英検やIT系資格試験、OECDによる国際学力テストで導入されている。しかしながら、「55万人もの受験生に対応できる機器の整備・維持管理費を確保できるのか」(毎日新聞)などの問題点も指摘されている。

《まとめ②》に続く。

 

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