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大学入試改革に関してわかっていること《まとめ②》

前回に引き続き、2020年度入試における大学入試改革について現時点で判明していることをまとめることとしたい。例によってご関心があれば続きをご覧あれ。

- 高校基礎学力テストとは? 高2・高3生を対象に2019年度から導入される基礎学力の測定テスト。現在小6・中3生を対象に実施されている全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の高校生版と言える。当初は英国数の3科目でスタートし、その後、地理歴史や理科にも拡大する見込み。出題範囲は主に中学から高1レベルになるとされる。 事実上の学力不問となっている大学においては入学者選抜の参考資料として活用することも可能とされている。ただし、2015年8月27日に実施された文科省の有識者会議において、受験勉強が加熱することへの懸念から、当面は大学入試に使わないことが中間まとめ案に盛り込まれた。

高校基礎学力テストは「全国学力テストの高校版」と言われている。センター試験の後継である大学入学希望者学力評価テストと対比されることが多いが、本来的な実施の趣旨は大学入試改革とは無関係。しかしながら、高校基礎学力テストを大学入試に使うのか使わないのか、現段階では見通しが立っていない。 文科省としては高校基礎学力テストを大学入試に活用することで、事実上の学力不問となっている大学における入学者選抜の適正化を図るとともに、大学入学者の学力水準を把握しようとしていると思われる。 高校基礎学力テストが大学入試に使われることになれば、中堅以下の大学においても「序列化」が生じ、大学の生き残りにも影響を与えるものと推測する。 意外なことに、現時点では、高校生の学力を恣皆的に調査する手段が無く、大学入試への影響はともかくとして、高校生に全国学力テストを受けさせる意義は教育政策の側面において非常に大きい。 また、高卒での就職活動でもテストの結果が参照される可能性もあり、進学希望者だけでなく、就職希望者への勉強の動機付けになるかもしれない。 「大学入学希望者学力評価テスト」との違いについては下表を参照のこと。

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- 新テスト導入の今後のスケジュールは? 大学入学希望者学力評価テストは2017年度入試からプレテスト実施、2020年度入試から導入、2024年度入試から本格導入となる見通し。高校基礎学力テストは2017年度にプレテスト実施、2019年度から英国数の3科目で導入されることまでは明らかにされている。

新テストはいずれも2019年度内の実施に向けて準備が進められるものの、本格実施はその数年後となっており、また、本格実施に関する詳しい情報はほとんど無い。 新テストの導入スケジュールが2段階式になるのは、次期学習指導要領が2022年の1年生から実施されることや、大幅な改革に対するテスト実施側の体制が整わないことが理由だ。 これに対して8月27日に文科省内で開かれた有識者会議において、「本格実施を2020年度にすべきだ」という意見も出されたように、新テストに関する方向性の分かりづらさを危ぶむ声もある。

以上、2回に分けて大学入試改革について現時点で判明している情報をまとめてみたけれど、新テストにおけるCBT(Computer Based Testing)の導入など、従来の大学入試の風景を一変させるような大きな改革となるのは明らかだと思う。 一方で、以下のような懸念が残る点について触れつつ、今回のところは筆を置きたいと思う。 ・新テスト(大学入学希望者学力評価テスト)の成績を10点刻みにしたとしても、各大学の個別入試が筆記テストへの依存から脱しないかぎり、本質的には何も変わらない。 ・次期学習指導要領では「数理探求」のような合教科が設置され、新テストにおいても思考力や判断力を問うこととしているが、日本史Bなどの従来科目が残る限りにおいては、「重箱の隅をつつく」出題はなくならないだろう。

 

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