恐らく、この業界への就職や転職を考えている方の多くは、「大学職員はノルマが無く、安定していて、まあまあ待遇が良い」というイメージをお持ちかと思います。
民間企業の厳しさを知らない人々がのんびりと仕事をしているんだろう、そんな職場風景を想像されるかもしれません。
こうしたイメージから、なんとなく
「誰にでもできそうだ」
あるいは
「民間出身の俺なら楽勝w」
という軽い考えで応募する方も多いと思います。
そして。。。
応募者が300倍とか言われてるけど、
「一流企業の高倍率とは違うでしょ」
あるいは
「自分にも内定の順番が回ってくるはずw」
そんな期待がどこかにありませんか?
しかし、当然ながら採用試験にそのような「順番」はありません。
素質のある人は一発で内定を取るし、そうでない人は何度でも落ち続けます。
人生初の書類落ちという衝撃
私自身も連戦連敗を経験しました。
新卒時代には味わったことのない「書類落ち」という屈辱も経験しました。
自分の転職活動期間は2ヶ月強でしたが、このわずか2ヶ月の間に「最終落ち」の憂き目を2度も味わっています。
選考結果をドキドキしながら待ったこともあります。
選考試験の会場に向かう途中で、何度も引き返そうと思ったこともあります。
最終落ちのショックは非常に大きく、内定をもらう自信すら消えかけました。
そんな私が失敗から立ち直り、短期間で内定に漕ぎつけた背景には、それなりに準備の効果があったのだと思います。
面接のイメトレや筆記対策など、いろいろやりました。
ただし、2度の最終落ちを通じて私が痛感したのは、テクニックだけでは最後のドアは開かないということです(体験記を参照)。
どんな人が有利なのか
他業界の採用試験と同様、大学職員でも経歴による有利不利があります。
優れた経歴であれば、書類選考や筆記試験で多少のゲタを履かせてくれます。
何校かの職員公募に応募する中で、一度も書類選考で落ちたことが無いという方もいらっしゃるでしょう。
ただし、経歴での優遇は、全体の中で極めて優れた経歴を持つ場合のみです。
数百人もの応募者に対し、些細な違いでランク付けなどしません。できるわけがない。
応募者の大半は全く平等に評価を受けることになると思いますので、少しくらい見劣りしていたとしても諦めないでください。
まず、転職の場合、最も重視されるポイントは職歴です。
一度でも面接試験を受けられた方であればご存知だと思いますが、面接官からの質問内容の多くは業務経験に関するものです。
どのような業界か、業務内容や経験年数などを細かく質問されます。
職歴は同業出身が最強(定説)
転職市場での一般論ですが、やはり同業出身者は強いです。
ここ数年は、特にその傾向が顕著。
大学間で事務職員の転職流動性が高まりつつあるので、他業界からの既卒採用はやや厳しくなったかなという印象です。
あと、大手企業出身であっても過度な期待は禁物です。
さすがに、外資金融や○○商事みたいな職歴であれば、特別な注目を集めると思います。そんな応募者を勝手な判断で書類選考で落とそうものなら、まず上司に怒られます。よほど何か問題が無いかぎり、1次面接で落とすのも躊躇するでしょう。
とはいえ、近年は都銀からの若手流出が止まらないように、転職市場は応募者の水準が上がっています。職歴に関しては謙虚にとらえるべきだと思います。
自校出身者が圧倒的有利
次に学歴について、やはり自校出身者が圧倒的有利と言わざるを得ません。
大学には校友(同窓会)運営など、自校出身者が必要な業務があります。
毎年10名程度を採用する大学で、その中に自校出身者がゼロという大学など考えられません。国公私立大学は700大学もあるわけですから、いかに自校出身者が有利かということが分かると思います。
大学によっては採用実績を公開していますので、応募前にあらかじめ確認しておくことをお勧めします。
自校出身者が有利ということを除けば、民間企業ほど学歴は重視されません。
少なくとも、「早慶以上は説明会が別日程」とかありませんのでご安心を。早慶帝大なら普通に落ちます。さすがに東大卒は特別な注目を集めると思いますが。
資格なら語学力と会計系
最後に資格ですが、一般企業以上に「語学」は強力な武器になります。
大学は海外との関わりが非常に多いので、語学ができる人はそれだけで重宝されます。
大学職員はわりと若いうちから海外出張の機会も巡ってきますし、短期の海外研修制度を設けている大学も多いです。実は語学力を活かしたい人にはメチャお勧めの業界だったりします。
目安として、TOEICスコア900以上なら無双、800以上なら見所あり、という感じでしょうか。実際のところ、TOEIC800クラスでは戦力になりませんが、そのレベルの英語力ですらレア人材というのが大学事務の現状です。
その他、会計士や税理士も無双。どこの大学でも、財務系の後継者確保は喫緊の課題なので、科目合格者でもアピール可能です。
財務を知らない人に限って「いまは知識が無くてもソフトで出来るんだヨ」なんて言いますが、ソフトは理事会で決算報告などしてくれません。
あと、弁理士、司法書士、社会保険労務士もスキルを活かせる部署がありますが、これらの分野は事務処理(書類作成と役所への提出)ができれば十分なので、アウトソーシングが基本です。(次回に続く)