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「いろいろ考えたんだけど」へのリツイートがけっこう多いことについての考察

ずいぶん以前に、ひろのぶbot氏のTwitterをリツイートしたところ、それに対するリツイートやお気に入りがけっこう多くて驚いています。主観的で感覚的な言葉なんだけど、妙に腑に落ちてしまう。そこが人の感性に訴えるのかもしれません。 せっかくなので、大学職員的な視点から、身の回りの出来事に対して「いろいろ考えたんだけど」を検証してみたいと思います。例によってご関心があれば続きをご覧あれ。

大学の組織論における「いろいろ考える」 大学という組織においても、もちろん「いろいろ考える」ことはあります。勝ち組大学であれ、その逆の立場の大学であれ、検討すべき事項は山のようにあるわけです。 さて、大学という組織特有の、一般企業の人からするとまず理解に苦しむであろうことと言えば、何を検討するにも「委員会」が必要になるということでしょう。 新たに何かを検討するには委員会を作る必要があり、既存の委員会の下に小委員会を作ることもあります。そのようにして作られた委員会が無数にあり、大学内に存在する委員会をすべて管理できている大学は多くないと思います。ちなみに、わたしの勤務校の場合、大学内に存在する各委員会の構成メンバーはもちろん、それぞれの委員会の名称や存在すら管理しきれていません。 このような有り様ですから、大学の中で「いろいろ考える」ということは、「いろいろ委員会を作る」ことを伴うわけであり、そういう状態は問題だから改善しようと検討するにも委員会を作らねばならないんだろうなと考えております。さすがにそれは大袈裟かなと思いつつも、小委員会くらいは作られるだろうと真面目に思ったりします。

上司の口癖における「いろいろ考える」 私の上司の口癖ですが、週に何度も「いろいろ考えたんだけどさぁ」を口に出しています。私も立場上、それを無下に聞き流すわけにもいかず、適当に「ガッテンガッテン」と相槌を打っております。 さて、そういう場合の「いろいろ考える」というのは、いつも考え方のプロセスが固定的で、いろいろ考えた結果を聞く前から結論は推測できるわけです。私の上司の場合ですと、重要性やらニーズやらをひとしきり語ったあとで、「短期的には難しい」という結論に落ち着きます。 このようなことは私の上司に限ったことではなく、私も含めてよくあることだと思います。身に染み付いた思考プロセスは意外と根深いもので、siri(iPhoneのアレ)の方がよほど柔軟なアタマかもしれません。笑い話のようで笑えない話です。 何が言いたいかといいますと、私たち人間は、よほど固執した考え方から離れて考えないことには、いろいろ考えているようで何も考えていないということです。自分では「いろいろ考えている」つもりでも、自己流思考プログラムに従っているにすぎません。

定量的な指標について「いろいろ考える」 特に国立大学では顕著なのかと思いますが、いま大学業界では生き残りをかけて、生き残りのためのPDCAサイクルを回すべく、達成すべき(達成できる)目標や計画をいろいろ考えています。 国からの補助金が頭打ちとなる中、どう収入を増やしていこうか。学生の学力低下が著しい中、どうやって勉強させていこうか。2018年以降は少子化が加速する中、どう受験生を確保していこうか。などなど、いろいろ考えています。 さて、目標や計画を立てるにあたって重要になるのが、定量的な評価指標です。すなわち、達成状況の良し悪しを客観的に判断するための、数字による評価基準のことです。

このような目標管理制度が大学に浸透しつつある中で、とりわけ気をつけなければならないのが、「数字作り」による弊害です。

つい先日、上にあるようなツイートをしてみましたが、戦後の日本において雨後の筍のように大学が乱立した背景として、大学進学率を教育水準向上の目標に据えたことが間違いなくあるでしょう。その結果が、今日の定員割れ問題です。定員確保のため学力不問の入学試験も一般的となり、大学には中高のカリキュラムを教えるノウハウなどありませんから、入学時の状態のまま(あるいは悪習慣を身に付けつつ)学年進行していきます。

いろいろ考えて改善策を模索しているのに、当然の帰結に対して考えが巡らないのが大学業界のアイロニー(皮肉)なのかもしれません。 今後も時代の流れの中で、様々な定量的指標が設けられると思いますが、その副産物についても、いろいろ考えなければならないと思っております。

お粗末さまでした。

 

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