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大学職員の地位向上についての一考察 ~大学職員はもっとオフィシャルな存在を目指すべきだ~

先日、現職職員のポポロンさんから、大学職員の地位向上に関してお便りをいただきました。 小生は大学運営や学校教育に強い関心を持っているつもりですし、大学職員として生きる日々に不満はありませんが、唯一、モヤモヤすることと言えば、大学内での「事務屋」という立場でしょう。この点、同業の方であれば共感いただけるのではないかと思います。

前置きはこのくらいにとどめ、まずはポポロンさんからのお便りをご紹介したいと思います。ほぼ原文ママとなります。

私は20代の事務職員であり、いわゆる大学事務職員が「人気職種」として注目を浴びてからの入職者です。 最近、個人的にかつての大学事務職員(「事務屋さん」と言われていた?)の存在感などに興味があり色々と自分でもそれとなく聞いたり、上司と飲んだ際に回顧録を傾聴しております。 もうお読みなったかもしれませんが「カレッジマネジメント」の最新号に龍谷大の記事が具体的な数字・事例が掲載してあり、個人的に貴重な資料となりました。 記事内容:http://souken.shingakunet.com/college_m/2016_RCM198_58.pdf ・龍谷大職員は7割強が自大卒者ということ。 ・長野氏が若くして当時職員としては珍しく各種規定に携われ、今なお当時の規定が引き継がれていること。 ⇒「当時の大学が組織的に未成熟だったからこそ若くして大きな仕事ができたのではないかと長野氏は振り返る。」 ・職員の意欲向上のための給与体系システム ⇒「資格要件を満たせば、役職者の欠員状況等にかかわらず、かつより短期間で上位資格に昇格できる」 ・当時としては珍しく職員の能力向上に尽力なされた原田氏のこと。 ⇒「同氏は1960年3月に龍谷大学大学院文学研究科真宗学専攻修士課程を修了した後、1961年9月に職員として入職、最後は総務局長まで務めている。大学院修了者としての学識と説得力で、教員中心の検討体制の中にも違和感なく入っていけた。」 当時から大学職員能力と地位の向上に注力なされていた方がいたと思うと感動を覚えました。 管理人様の経験から、職員の変化に関し、聞いたことや実感することがありましたらお教えいただければと存じます。

小生もポポロンさんと同じく、大学事務職員が「人気職種」として注目を浴びてからの入職組です。 内定が出たあとで人事から聞いた話によれば、ES提出時点では倍率が100倍前後であったとのことですから、これは本当に狭き門だったのだなとゾッとしたのを覚えています。 そのような難関を突破したわけで、配属初日には「さあ仕事をするゾ」と意気込んではみたものの、指示された仕事はまさに「事務屋さん」以外の何者でもありませんでした。

そのときの上司は50代前半の方で、仕事帰りに近所の飲み屋によく連れて行っていただきました。 小生は他大学出身でしたので、生え抜きの事務職員に馴染んでいくことは必須でしたし、また、大学周辺の土地勘を得るうえでも貴重な経験であったと感謝しています。 そのような場で、小生も先輩職員(年齢的には大先輩ですが)から昔話をお聞きすることがありました。

その上司が大学職員になった経緯は、ゼミの先生からの紹介だったようです。「大学で事務職員を募集してるから、応募してみたらどうだ?」というような感じで誘われたのでしょう。 小生の勤務校の場合、教員からの誘いで大学に就職したという話をチラホラと耳にします。求人情報を就職課の掲示板でチェックしていたような時代ですから、そのような「ツテ」を頼りに就職先を探すことも珍しくなかったのだと思います。 ちなみに、その上司の入職動機は「仕事が楽そうだったから」ということで、このあたりは今も昔も考えることは皆同じようですね。(もっとも、その上司は平均して毎日4~5時間は残業していましたが)

さて、大学を取り巻く環境の変化とともに、事務職員に期待される能力は高まるばかりです。そのあたりはカレッジマネジメントに筑波の吉武先生が度々寄稿されているとおりだと思います。 日々の業務遂行に関するスキルアップは基本的にOJTが中心ですが、小職のまわりでは大学院進学を考えている事務職員が何人かいます。年齢的には40代の方が多いです。 大学経営を研究するのであれば、東京大学教育学研究科大学経営・政策コースや桜美林大学の大学アドミニストレーション研究科、正課ではありませんが筑波大学の大学マネジメント人材養成プログラムなどがあります。現職の方であればご存知かもしれません。

しかしながら、実際に大学院に進学した事務職員がどれだけいるかというと、小生の勤務校では片手で数えられるほどの人数しかおりません。時間のやり繰りはもちろん、経済的な負担も馬鹿になりません。 また、その方々が学位取得後に大学内で出世を重ねているかというと、必ずしもYesとは言えません。 大手企業のMBA派遣とは事情が異なるため、事務職員の大学院進学はあくまで「プライベート」な活動として扱われてしまうのが現状です。

大学職員の地位向上を実現していくうえで大切なことは、「オフィシャル」な活動を増やしていくことだと考えています。 たとえば、大学院で学位を取得して満足するのではなく、雑誌に論文を投稿したり、学会で発表したり、積極的に名前を売っていく努力が必要です。 そこまでやってはじめて、「あの人はすごい!」「あの事務職員は誰だ?」という評価に繋がります。周囲や社会から評価されるためには、オフィシャルな存在にならなくてはいけません。

事務職員は舞台の「黒子」だと言われます。黒子には名前すらありません。大学職員が事務屋(=黒子)から脱皮するためには、名前を売って役者になる必要があるということです。

近頃では意欲的な事務職員が増えてきました。大学関係者向けの勉強会やセミナーに熱心に通う人、書籍やメルマガ等で情報収集をする人、努力の方法は人それぞれです。事務職員の中には、知識を蓄えて「参謀」を目指す人もいます。 しかし、いまやインターネットで瞬時に必要な情報を取り出せる時代なのです。脳内ハードディスクに知識を詰め込むだけの事務職員では、とても教員と対等な関係を築くことはできません。ご無礼を承知で述べさせていただくと、知識を貯め込むだけの「物知り」では、「事務屋」と大きな違いはありません。

どれだけ知識を得たとしても、名前を売る努力をしないかぎり、オフィシャルな存在にはなれません。勉強をするのは大切ですが、勉強はあくまで内向き(プライベート)の活動です。外に外に、横並びから一歩前へ踏み出す努力、オフィシャルを意識することが肝要だと思っています。

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