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「どのような貢献ができますか」への回答が浅薄なものとなってしまう理由と解法

大学職員採用のエントリーシートで、「あなたは本学でどのような貢献ができますか」という質問項目をよく目にします。基本的には理由を添えて希望部署や希望職務を記述すればよいのですが、どうにも地に足の着いた文章が書けないという方も少なくないのではないでしょうか。そこで本稿ではタイトルにも掲げたとおり、この手の設問への記述が浅薄になってしまう理由と、納得感のある文章を書くための方策について述べたいと思います。

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まず、結論から先に書きます。「あなたは本学でどのような貢献ができますか」という質問に対して、地に足の着いた文章を記述できない理由は、現役大学職員にすら書けないようなことを書こうとしているからです。

エントリーシートは選考過程における最も重要な資料となりますから、よりPR性の高い内容を盛り込むことで他の志望者との差別化を図るべき、これは当然のことではありますが、「本学でどのような貢献ができますか」という設問について斬新さを高めていくと、必然的に実現性や根拠に乏しい記述の割合が増えていきます。おそらくその段階で、書いている本人ですら不安になることでしょう。

このように想像だけで書かれた文章をプロの目でチェックすると、大学の内部規定や組織文化とのギャップが大きかったり、そもそも大学設置基準等の法令に反していたりと、かえって裏目に出るような「アラ」がボロボロ出てきます。

もちろん志望者は大学業界に関して全くの素人であるという前提に立ったとしても、あまりに現実離れした提案内容では、面接の際に深掘りして話をしても仕方がありませんし、そもそも大学業界について誤解が大きいのかな・・・という印象さえ持たれかねません。これではアイデアの斬新性どころか、内定から一歩も二歩も後退してしまいます。

こうした失敗を未然に防ぐ上でぜひとも念頭に置いていただきたいのは、「本学でどのような貢献ができるか」という設問では、斬新なアイデアや際立った成果など求められていないということです。

むしろ、どのような背景を踏まえて、どのような問題意識を持ち、どのようなアプローチで解決に導いていくのか、自分自身の思考手順を明確にすることがポイントになります。

ビジネスパーソンの思考手順とは、サッカーで言うところのプレースタイルのようなものです。ドリブラーなのかパサーなのか、ゴールを狙うという共通の目的の下でも、それぞれにプレースタイルは違います。当然のこと、プレースタイルが際立っている選手ほど、スカウトの目にとまりやすくなるということです。大学職員の採用においても同じことが言えます。

大学という組織は良くも悪くも過去からの延長線上で物事を思考する文化があり、教職員の多くがその文化に染まっています。その伝統に抗おうと立ち上がっては崩れ落ちた先人たちも数知れず、それでも挫けず、日々小さな改善に取り組んでいるのが今の大学の姿です。

大学の抱える問題点は多くの大学人が理解しており、しかし絡んだ糸を解くのは容易ではありません。その難題に取り組むには、アイデアマンであるだけでは十分とは言えず、ポイントを見極めながら周囲が納得する手順でパズルのピースを埋めていくような段取りも必要です。そうしたプレースタイルを面接官に伝えられれば、「本学でどのような貢献がしたいか」という設問への適切な解法となるでしょう。

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