エントリーシート(ES)の作成は大学職員志望者にとって大変な負担であろうと思います。複数の公募案件に応募する場合、とりわけ転職者希望者におかれては、ESの執筆はまさに時間との睨み合い。机の前に長時間座っても文章がまとまらず、十分に煮詰まらない状態でタイムリミットを迎えることもあるでしょう。そこで本稿では文章作成の一方策として、文章の起案から執筆までを高速化する手段をご紹介します。
ESに限ったことではありませんが、ストーリーのある文章を作成するときには、文章を書き始める前に「アウトライン」を整理しておくことが大切です。
アウトラインというのは直訳すれば「輪郭」のことですが、文章作成においては「骨組み」のことだと理解してください。ストーリーの骨組みさえしっかりと整理しておけば、あとはそれに肉付けしていけば文章が完成するはずです。骨組みと肉付けを同時にやろうとすると、よほどセンスが無いかぎり短時間で文章を仕上げることはできません。
それではどのようにアウトラインを整理していくのか、具体例をお示ししながら説明したいと思います。
第1段階としては、「起承転結」を意識して、各段落の概要を決めていきます。起転結でも構いません。起承転結を重視する理由は、読み手に唐突感を与えないための(あるいは論理の飛躍を防ぐための)文章作成における定石だからです。プレゼンや企画書であれば結論から述べるのも一手かと思いますが、ESにおいては面接官に自身の思考手順を理解してもらうためにも、やはり起承転結の構成がベストであろうと思います。
《第1段階:起承転結を意識して各段落の概要を決める》
1.大学教育を取り巻く環境
2.A大学の現状分析
3.今後の方向性と課題
4.わたしが貢献できること
第1段階で整理した文章構成が背骨だとすれば、第2段階はそれに手足や指を付けるような作業です。前後の段落の「つながり」を意識して、必要なコンテンツを追加していきます。以下の例に示すように、ある程度汎用的なものとしておけば、ESのテンプレートとして使うことができるでしょう。
《第2段階:前後との「つながり」を意識してコンテンツを追加する》
1.大学教育を取り巻く環境
少子化・2018年問題
近年の教育政策・入試制度改革
他大学の動向
2.A大学の現状分析
主要データ・大学規模・入試動向・認証評価
将来計画・経営指標
3.今後の方向性と課題
将来的に予測されること・チャンスとリスク
経営計画の達成に向けた不足点
4.わたしが貢献できること
ロジカルシンキングによる計画管理
コミュニケーションを通じた部門調整及び進捗管理
アウトラインを整理する際の注意点として、基本的に上記の第1段階・第2段階のステップを踏んでください。すなわち、全体構造を固めてから枝葉を付けていくということです。そうしないと、前後のつながりを意識した思考ができず、アウトラインを用いない場合とあまりやっていることが変わりません。
第3段階では、応募する大学に合わせて、上記の文言を具体的数字や固有名詞に置き換えていきます。あるいは、この段階からはESのフォーマットに文章を打ち込んでいってもよいでしょう。というのも、大抵のESではページ数や文字数の指定があるため、最終的にはそれらの制約を踏まえた文章作成が必要だからです。
このようにアウトラインを作成する場合には、もちろんWordやメモ帳でもいいのですが、「アウトラインプロセッサ」というソフトを使うのも一考の価値があります。いまの時代は家でも出先でもクラウド経由で編集可能なアウトラインプロセッサがありますので、アイデアが思い浮かんだときにスマホで入力するこも簡単です。
アウトラインプロセッサは多数あるので評判の良いものを選べば間違い無いと思いますが、無料ソフトの中では「Workflowy」がお勧めです。Webブラウザ上で動作するソフトなのでPCにインストールする必要が無く、スマホ用にはアプリも提供されています。
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