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受験生に激震!来年からトップ大学の難化は必至か?

7月10日、文部科学省と日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)は連名で、私立大学に通知(「平成28年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について」)を発した。 補助金不交付の基準となる入学定員超過率を引き下げるという内容で、大規模大学への学生の集中を解消し、地方及び小規模大学へと学生を分散させるのが狙いだ。 これにより特に入学定員超過が常態化している一部の私立大学は合格者数を絞ることが予想され、結果として合格ラインの難化が必死の状況となっており、そのあたりが本日の話題。例によってご関心があれば続きをお読みあれ。

今回、文科省と事業団が発した「通知」がこちら。

平成28年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知) http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1360007.htm

まあまあ長たらしい通知なので要約すると次のとおりでさる。すなわち、平成26年度には、全国で約4万5千人の入学定員超過が生じており、その7割が収容定員4,000人以上の大・中規模大学に集中し、また、8割が三大都市圏に集中している。教育条件の維持・向上及び地方創生の観点を踏まえ、私立大学等経常費補助金の不交付となる基準を以下のとおり厳格化する。

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画像が小さくて見えづらいが、要するに補助金不交付となる入学定員超過率が平成28年度から段階的に引き下げられ、平成30年度には1.10倍となる(学生数8,000人以上の大学の場合)。 ちなみに私立大学が交付されている補助金額は以前の記事でも少し触れたが、早稲田大学の場合では86億円(平成26年度)の補助金を交付されている。 早稲田大学の場合、入学定員超過率が1.10倍を超えてしまうと、86億円の補助金をまるごと失うことになり、大学経営へのインパクトは非常に大きい。

では、直近の状況において、有名私立大学の定員超過率はどうなっているのだろう。Business Journalに有力大学の定員充足率の一覧が掲載されていたので引用したのが以下の表。(注:引用元の記事には、入学定員超過率か収容定員超過率かの記述は無い)

早稲田大学119% 慶應義塾大学111% 上智大学116% 明治大学114% 青山学院大学116% 立教大学119% 中央大学114% 法政大学107% 関西大学110% 関西学院大学105% 同志社大学113% 立命館大学114% Business Journal 2015.8.8より http://biz-journal.jp/2015/08/post_11038.html

上記のとおり、早稲田大学と立教大学の場合、19%も定員をオーバーしている。少なくとも9%は削らなければ補助金不交付となるため、入学試験の合格者を1割以上減らすのではないかと思われる。 すなわち、従来ならば合格していたはずのボーダーライン上の1割が不合格となるため、これらの上位校においては入学試験の難化が想定される。

大学経営への影響については、入学定員超過が常態化している大学にとっては、財務計画の修正が必要になるだろう。また、上位校から中位校へと高校生が流れるため、定員充足率が100%を少し超えるくらいの中堅大学にとっては、むしろ恩恵をこうむる可能性もある。 ただし、文科省の思惑どおり、地方大学や下位校にまで高校生が流れるかは不明。そこまで志望大学を落とせないという心情も働くと思われるので。 地方創生は安倍政権の肝入り政策だが、その成否やいかに。さっそく来年度の入試結果を注目したい。

という感じでつらつら書きつつ、次回もよろしくお願いします。

 

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