公設民営大学として運営されてきた長野大学については、本サイトでも何度か事務職員の公募情報をお伝えしてきたけど、いよいよ公立化に向けてお膳立てが整ってきた模様。例によってご関心があれば続きをお読みあれ。
まずは長野県で抜群の購読シェアを誇る信濃毎日新聞の記事を抜粋。
私立長野大(上田市下之郷)について、上田市を設立主体とする公立大学への移行の是非を協議してきた同市の検討委員会が、公立化を「是とする」との内容の報告書をまとめたことが2日、分かった。報告書は3日、検討委の白井汪芳(ひろふさ)委員長(元信州大繊維学部長)らが市役所で母袋創一市長に提出する。
長野大学の公立化については、2014年3月に長野大学側から上田市に対して公立化に関する要望書が提出され、上田市の検討委員会が8回の会合を経て検討してきた。その検討委員会が、市長に対して公立化イイネの報告をしたというのが6月2日のニュースというわけ。
ちなみに公設民営大学というのが長野大学を含めてどれだけある(あった)かというと、以下の13大学が該当する。このうち5大学が公立化しており、現在、長野大学のほか山口東京理科大学にも公立化の動きがある。
高知工科大学(2009年公立化)
名桜大学(2010年公立化)
静岡文化芸術大学(2010年公立化)
公立鳥取環境大学(2010年公立化)
長岡造形大学(2014年公立化)
稚内北星学園大学
東北公益文科大学
東北芸術工科大学
長野大学
諏訪東京理科大学(公私協力方式)
姫路獨協大学
山口東京理科大学(公私協力方式)
九州看護福祉大学
元岩手県知事・総務大臣の増田寛也氏の持論によると、東京への人口移動は大学進学時と就職時に顕著となるらしい。地方大学、特に私立大学の経営が困難となるのは当然の帰結。公設民営大学の公立化がここ5年で相次いでいる理由もそこにある。
公設民営大学が民営化するメリットは2点。まず、公立大学の看板による効果で、学生募集が圧倒的に改善する。既に公立化している5大学のうち、定員を充足していたのは静岡文化芸術大学のみであったが、他の4大学についても公立化により入試志願者数が4~10倍となり、定員割れを解消した。(週刊東洋経済臨時増刊「本当に強い大学2015」より)
長野大学においても、平成26年6月掲載の自己点検評価報告書にて「平成 22(2010)年度以降、本学では赤字経営が続き、定員割れの解消と赤字経営からの脱却が喫緊の課題となり、さらに、平成 23(2011)年度には入学者の確保が最重要課題となった。」という状況にあるが、公立化により改善が期待されるところだろう。
2つ目のメリットとして、私立大学に対する私学助成金を上回る額の地方交付税交付金を得られる。長野大学の場合だと私学助成金の金額は、年額で約1億6千万円。なお、私学助成金は平成25年度に563大学が交付を受けており、長野大学への交付額は346位だった。
また、当サイトとの関連で言えば、公立化されることで大学事務職員としての就職口が増えることにもつながる。
という感じで公立化の動きをつらつら書きつつ、次回もよろしくお願いします。